おいでよ!トノフォン航空公園 第5回

2015.05.21 Thursday

前回のあらすじ)トノフォンフェスティバル2015のフライヤーに描いてある地図の、運動場と野球場の位置が印刷ミスで逆になっていた。
 
Cという男がいる。CはAという男が憎くて憎くて仕方がなかった。ある日、ついに我慢も限界を超え、CはAを殺そうと決意するに至ったのである。
 
Cの考えた計画はこうである。
 
Cは友人のBと夜中の航空公園でたまにジョギングをしているが、そこにAを誘う。待ち合わせの時間は21時である。
 
待ち合わせ場所は航空公園内の野球場前。Aは航空公園に来たことがないので、地図としてトノフォンフェスティバル2015のフライヤーを渡しておく。
フライヤーには、航空公園駅からトノフォンフェスティバルの会場の公園内の野外ステージまでの地図が描いてある。しかし、実はこの地図に描いてある野球場と運動場の位置が、印刷ミスで逆になっているのだ。
 
航空公園に来たことの無いAは、その地図を見て野球場と勘違いして運動場にやって来る。夜間の暗がりでは、広い運動場のグラウンドを野球場と思い込むはずである。Cは運動場の木陰に隠れて待ち伏せしている。
 
Aには待ち合わせ場所に着いたらメールを送るように言っておく。そして、その後Aを殺して、すぐに自分は野球場に向かう。運動場から野球場へは成人男性が普通に歩いても5分はかかる。仮に21時に犯行を行うとすると、野球場に着くのは大体21時5分である。
 
警察の検視結果では、死亡推定時刻は21時頃と判断されるだろう。Aの送ったメールから、Aは21時に野球場にいたことになる。死体は運動場で発見されるから、Aは野球場で殺された後に運動場まで運ばれたと警察は考えるはずだ。
死体を担いで野球場と運動場の間を往復するには、どう急いでも10分以上はかかるので、21時5分に野球場にいるCに犯行は不可能と判断される。そういう算段だった。
 
当日、Cは待ち合わせの時間より大分早くから、運動場の木陰で身を隠してAを待ち伏せしていた。
その数日前に、音楽好きのAを誘ってライブを見に行き、会場のライブハウスに置いてあったトノフォンフェスティバルのフライヤーを地図として渡しておいた。
AはCから殺意を抱かれているどころか、憎まれていることにすら気がついていない鈍感な男だ。Cは自分の思惑通り、ノコノコと野球場と間違えて運動場に来ることを確信していた。
 
Aは待ち合わせの時間にキッチリ来るタイプである。待ち合わせの時間の5分前になると、Cは今か今かとAが来るのを待ち構えていたが、一向にAが現れる様子は無かった。そして、待ち合わせ時間の21時、Aから「野球場ついたよ〜」というメールが来た。しかし、運動場にAの姿はない。Aは間違えずに野球場に着いた様である。果たして、Cの計画は失敗に終わった。
「何故だ。Aはフライヤーの地図を見ずに自分で場所を調べて来たのか」Cは呆然とした。
 
しかし、Aはトノフォンフェスティバルのフライヤーの地図を見て、待ち合わせの野球場まで来たのである。
実はトノフォンフェスティバルのフライヤーの地図、2刷目からはきちんと運動場と野球場の位置が修正されているのである。CがAに渡したフライヤーは、その修正版の方だったのだ。(初刷のフライヤーを持っているみんなも、2刷目をゲットして確認してみよう!)
 
Aは野球場前で同じく時間通りに来たBと、Cが来るのを待ちながら、ぼんやりとトノフォンフェスティバルのフライヤーを眺めていた。
「トノフォンフェスティバルか……」
Aはこのフライヤーのおかげで命拾いしたということなど露知らず、一人つぶやいた。
「出演は明和電機、neco眠る、yumbo、森は生きている、麦ふみクーツェ楽団、そしてトクマルシューゴか。豪華だな」
Aの趣味は音楽鑑賞で、トノフォンフェスの出演者の名前はもちろん全て聞き覚えがあった。
「いや、豪華なだけでなくユニークな組み合わせだ。この先、この6組を一度に、しかも野外で見られる機会は二度と無いだろう」

 

第ー刷

第二刷(正しい地図)

 
TONOFON FESTIVAL 2015
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